利用者様にとって、食事は日常生活の中で大きな楽しみの一つです。私たち柏清会は、この食事に特に力を入れており、食事を楽しんでいただくことで居心地の良い快適な生活の場を提供しています。
食事は管理栄養士の指導のもと、プロの料理人がメニュー開発から調理まで行い、味はもちろんのこと、見た目にも美味しい料理にこだわっています。
厨房は食堂に直結したオープンキッチン形式です。食事を調理する段階から、厨房職員の動きや調理する音、食欲をそそる匂いまで楽しんでいただけたらと思っています。もちろん出来るかぎり作りたてのお料理を、すぐに提供できるよう努めています。
食事は食べたいときに食べるのが一番美味しいのでは?そのような思いから柏清会では、利用者様は提供時間内であれば好きな時間に食事をすることができます。ホテルや旅館では当たり前のことを、柏清会は実践しています。
食事は単に栄養を摂るだけのものではなく、生活の楽しみの一つになるようスタッフ一同日々工夫を重ねています。その一つが選択メニューです。
すずしろ園では朝食はパン食とごはん食の2食から、昼食は日替わり定食と月替わりの和定食・洋定食・麺定食の4食から、夕食は日替わりメニューの2食から選ぶことができます。(施設によって選択の幅は異なります)
咀嚼(そしゃく=噛む)や嚥下(えんげ=飲み込む)に支障があり、普通メニューを食べるのが困難な方には、噛みやすい「きざみ食」や飲み込みやすい「ミキサー食」が提供されますが、柏清会ではできるだけ普通メニューを、切り方や調理法を工夫することで形のある料理としてお出しし、介護職員が目の前で食べやすいようお手伝いします。
見た目にもきれいで、まさに「美味しそう」「食べたい」と思っていただけるメニューとして喜んでいただいています。
さらに、お花見や納涼祭、敬老会、クリスマス会など四季折々のイベントを企画し、行事に合った食事を提供しています。祝日などの特別な日には小鉢の色々メニューやにぎり寿司を、また、冬季には鍋料理を用意し、寒い季節に暖かい料理でおもてなししています。もちろん、お正月はおせち料理です。
口腔ケアは、口の中の汚れを取り除き細菌の繁殖を抑えます。さらに口の筋肉をスムーズにして、噛む、飲み込む、話す、笑うなどお口の機能の維持回復を目指します。
まして、せっかくの美味しい食事も口から食べることで味わえます。食後の歯磨きだけでなく、どのような歯ブラシを使って、どのように磨くのかということまで、歯科衛生士や歯科医と連携して取り組んでいます。
出来るかぎり口から食べることで美味しさを味わっていただきたい。お口の健康でカラダも心も健康でいて欲しい。そのような思いで口腔ケアに取り組んでいます。
人間にとって、排泄は非常に大切です。その方法や場所はヒトが人である証の一つでしょう。ですから、私たちは「排泄はトイレで」を合言葉にしています。
安易にオムツを使用することはせず、利用者様一人ひとりの状態を丁寧に観察し、排泄する時間や間隔を把握してトイレへ誘導。また、水分摂取量や離床時間を増やすことも検討するなど、出来るだけトイレを使っていただけるように努めています。
食べたいものを食べる。動きたいときに動く。そのような当たり前のことを、柏清会では出来るかぎり限り尊重したいと考えています。だからベランダに出ることも、エレベータでフロアを行き来することも自由です。介護のプロとして、身体的な抑制はもちろんのこと、言葉でも利用者様の行動を抑制したり、制限したりすることのないように努めています。
そのために、毎日笑顔であいさつすること、明るく声をお掛けすること、正確でていねいな介助をすることで、信頼され、安心して穏やかな毎日を過ごしていただけるように努めています。
柏清会では、成人施設として身の回りの環境にも注意を払っています。大人には大人のための落ち着いた雰囲気が必要だと考えています。
例えば保育所の壁のような色紙で飾り付けを行うようなことはしていません。風船バレーのような子供だましのようなレクリエーションも取り入れていません。それよりも、ご自身で自由な時間を過ごしていただきたいと思います。極端に言えば、大人には「何もしない贅沢な時間」があっても良いのではないかと考えています。
もちろん、桜のシーズンには花見、秋には日帰り旅行、年末にはクリスマスのディナーバイキング等、年間を通じて季節を感じていただけるような行事は多彩にご用意しています。
職員の服装もジャージやエプロン姿ではなく、普通の生活環境にできるだけ近い形になるように努めています。
終の住まいとして、穏やかにその日まで過ごしたい。そのような願いにも出来るかぎりお応えできるよう努めます。
なずな園とすずな園の大浴場はなんと温泉です。
準天然光明石温泉といって、薬石光明石<医薬部外品>を泉源体としており、効能は神経痛、リウマチ、肩こり、冷え性、腰痛、痔、産前産後の冷え性、疲労回復に効くとされています。
なずな園ではわざわざ最上階の5階にお風呂を設置。淀川の雄大な景色を眺めながら、ゆったりした気分を味わっていただいています。一方すずな園のお風呂は、1階ウッドデッキに面した半露天風呂形式です。
また、すずしろ園のお風呂では、全面ガラス越しに中庭を望みながら湯船にゆったりとつかっていただけます。
運営方針の一つに“サービス業”を掲げる柏清会。基本的なビジネスマナーやサービスマナーは、介護のプロとして必須で身につけておくべきものだと考えています。
だから柏清会では、職員研修の一環として外部講師を招いて、毎年、接遇研修を実施し、言葉遣いや身だしなみ、表情、態度などを訓練しています。職員皆が接客のプロを目指し、利用者様に居心地の良い毎日を過ごしていただけるよう努めています。
柏清会の職員、関係者が、長年にわたって培ってきた介護に関する幅広い知識とノウハウ、スキルをまとめた本を出版。いずれも実践的で役に立つと好評を博しています。
井上 敏機について
1951年生まれ。龍谷大学文学部社会学科社会福祉専攻を卒業。特別養護老人ホームに入職。1994年、枚方市で日本初の365日24時間対応巡回型ホームヘルプ事業を立ち上げる。
その後、当法人すずしろ園次長、今市地域在宅サービスステーション所長、なずな園施設長を歴任し、柏清会の基盤作りに奔走する傍ら、長年、高齢者福祉に携わってきた経験をもとに、高齢者福祉や介護に関する書籍を多数著すとともに、大阪国際大学および四条畷学園短期大学において非常勤講師として教鞭をとるなど、福祉関連の人材育成にも取り組む。2011年没。